いたがきます

瞳をとじてのいたがきますのネタバレレビュー・内容・結末

瞳をとじて(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

映画に観られているような感覚を感じた。



ビクトル・エリセの監督する長編作品は実に31年ぶり…らしいが、とても鋭かった。

ラストシーンの劇中劇は「フリオに何かを語ろうとする視線(カメラ目線)」を送っており、フリオは瞳を閉じる。しかし、フリオやミゲルら登場人物も、ときおり観客に似た目線を送っていた。
お前にとって「映画」とはなんだ、と言わんばかり。
映画に観られている感覚はこういうとこから来てるんだろうが…

惜しいのは、この映画を楽しむ感性は持っていたとしても、この映画に観られても耐えうるほどの人間としての厚みが自分にまだないこと。
もっと映画人たる経験がないと、この映画に観られる資格がない、と感じてしまった。
畏れ多い。



シーンの切り替えでフェードアウトしていくのが、感情が波のように押し寄せて引いていくようで良かった。
歌を歌うシーンを最低限に絞ってあるのも、詩的な雰囲気を醸し出していたのでは。

十七音の縛りがあるからこそ趣を描けるように、最低限の手数で描かれた、洗練された160分だった。

この監督こわすぎ、どうやったらそんなセンス持てるんだよ
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