いたがきます

オッペンハイマーのいたがきますのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.4
偉人の半生を2つのタームに分け、栄光と没落の人間ドラマを見事に怪演されたという点で読後感がアラビアのロレンスに近いと感じたが、こと表現に関してはいつものノーラン節、全く飽きない3時間だった。

アインシュタインが一般相対性理論を発表したのが1915年、学会の長老からは理解されず、理論が真価を発揮したのは没後のことだった。
しかし、彼が学会のレジェンドとなったときに「神はサイコロを振らない」と量子物理学の不確実さを否定した。
そうしてオッペンハイマーも、常識を変えてしまった科学者として学会、ひいては世界から評価される存在となってしまう。

こうした王位継承のような、理論物理学界のバトンパスがこの映画のキーとなるカットとして入れられていて、ノーランは見事にこの関係を活かしている。
学生オッピーが「リング状の紐が揺らいでいる状態」という二十一世紀の量子物理学の例えを夢で見ていることなど、化学オタクが興奮しそうな描写がいくつもあった。

テーマだけ切り取っても、社会派、伝記、伝承、科学など様々な側面で洗練されていたと思う。

う〜ん、納得。
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