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ゴースト・トロピックのmareのレビュー・感想・評価

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)
4.0
久々に没入感を得られ呼吸がフィットするような映画体験だった。うたた寝をしてしまったその先にある街の息遣いと節操なく動く人々の生と死。夜の永遠性を保ちながら、彼女の見つめる視線の前には常に始まりの予兆があり、刹那的なコミュニケーションへの入口が開かれている。目的を見失い漂流するしかない袋小路に迷い込み、それでも確かに交わされる会話はぼんやりとした輪郭を纏いながら静かに痕跡となっていく。スローモーな時間の流れに緩やかに顔を出すそれぞれの営み、そして流れに身を任せるだけでなく、時に大胆な主人公の行動が突発的で、フィクションからリアルへの跳躍でこちらへ接近してくる。人と出会っては別れていく連続は、現実においても無数のチャプターのように無機質である。
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