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モーヴァンの4423のレビュー・感想・評価

モーヴァン(2002年製作の映画)
4.5
アラン・ウォーナーの原作は読了済み。
金のライターとシルクカット、セパレーターをはめた指に塗るダスキー・チェリーのペディキュア、子供の頃、クリスマスカードの上で膝を擦って以来、ラメパウダーが入り込んだ光る膝、ウォークマンから流れる音楽……。

目覚めたら恋人が自殺していて、恋人の書いた小説を自分の名前に打ち変えて出版社に送りつけるというストーリーらしきものはあるにはあるのだけど、これ、原作読んでないと作品としての面白さはあまり感じないのでは? 原作でもモーヴァンの語り口はかなり独特なもので、ざらざらと引っかかりまくると言うのに。それでも時おり覗かせる詩情的な言葉の数々がすきですきでたまらない。

いわばこれは、小説のなかでモーヴァンが見たもの、感じたもの、聴いていたものを視覚的に表現したものにすぎないのだ。孤独な女の、自分探しの旅なんてものじゃないね。生憎にも。

ざっくりと切りとられた引きの風景が美しかった。あとはやはり音楽が素晴らしい。サントラ買いました。

ボーズオブカナダの『Everything You Do Is A Balloon』を聴いているシーンでうーん、これはイマイチ……とイントロ部分ですっ飛ばすモーヴァンがすき。

◼️そういえば『Everything You Do Is A Balloon』で思い出したけど、『One Got Fat』(1963)という自転車交通安全のために作られた短編映画がヤバヤバにヤバかったのを思い出した(はっきり言ってトラウマ級の恐怖映画。閲覧は自己責任で)。

オリジナルのBGMは軽快な感じなんだけど、ボーズの曲を使用し、短く編集されたやつは本当にヤバい。
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