このレビューはネタバレを含みます
初っ端のアフリカ帰りの社長が水曜どうでしょう感あって面白かったがいざ人工心臓を本気で作る話になると大泉洋さんの演技は迫真で素晴らしかった。各所で泣かせに来るし、、地道に働く男やずっと耐えてきた父親が泣くシーンは刺さるんだよなあ。
まず町工場×医療という題材が新鮮でした。医学の知識はひとつも無い町工場で働く父が心臓の難病を患う娘の為に自ら人工心臓を10年以内に作ろうとする嘘みたいな実話。難病を患った家族がいたとして普通なら余生を後悔のないように過ごすのが当たり前のような気がするけど、父の宜政は余命の間一緒にいる時間を割いてでも娘を救う道にかける行動力には感動した。そして一緒にいれなかった日々を娘は自分の為だからと理解し気づいていたのが日記で明らかになる。見えない努力がしっかり娘に伝わっていて感動した。
本作はよくある御涙頂戴的な展開にならないのが好印象でした。原作は未読なのでこの映画だけなのか分からないが娘の死に際を描かなかったことに驚いた。人工心臓を作る過程で得た知識と技術で1人でも多くの命を救う娘との約束を日本人向けのバルーンカテーテルの製作を通して成功させ約束を守り、人工心臓の開発と娘の死は決して無駄ではなかったと証明し前向きな終わり方をしたのが他の余命系の映画とは一括りにできない良さがあった。