こじらせ男子の白昼夢

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)のこじらせ男子の白昼夢のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

開幕からアクションの連続で、呼吸を忘れるほど前のめりに見入ってしまいました。
平次とキッドの連続アクション。即座にキッドの変装を見抜く平次の執念と、「絶対に許さない!」という気概。これがキッドの犯行に対してではなく、ほぼ私怨なのも良いです。殺人事件ばかり対応しているのであれば、盗みにそこまで闘志を燃やさないのも道理。怪我人も居ませんし。

そこからのお馴染みテーマソング。和風アレンジとでもいうのでしょうか?非常に聞き応えがあり、映画館にコナンを観に来た!というエンジン始動音にも近い感覚。もうこの音楽だけ聴いていても良いくらいでした。ライブでやって。行くから。絶対行くから。

ストーリーをザックリと説明をすると
1.北海道函館の斧江財閥にキッドから「貴殿の日本刀を貰う」と犯行予告が出される。
2.たまたま剣道大会で北海道に来ていた平次と、その応援に来ていたコナン一向がキッドとカチあう。
3.キッドと接触した結果、実はその日本刀は全6振りあり、それが先の大戦で「戦況を一変させる兵器の在りか」を示すアイテムであることを知る。
4.時同じくして、斧江財閥の顧問弁護士が殺されてしまい、その捜査協力という形でキッドと平次とコナン一向は共同戦線を張ることになる。
5.キッドの他、その兵器確保を狙う日系アメリカ武器商人ブライアン・D・カドクラ。斧江財閥の先代に心酔し、彼からの兵器破壊の命を忠実に守ろうとする福城良衛とその息子・聖。各々の目的が交錯し、事態は二転三転。
6.結局その「戦況を一変させる兵器」とは暗号機と暗号解読機であり、現代においては無用の長物。こんなものに人生を賭けたのかとカドクラも福城も絶望。

これに
・平次の恋模様(不発)
・ヘリから市街地へ豆撒きのようにスタングレネードをばら蒔くサイコお嬢様
・闇組織のボスのくせして街中銃撃カーチェイスを行い、警察に捕まったターゲットを警官ごと射殺しようと狙撃までこなす現場叩き上げ管理職カドクラ
・黒羽盗一は生きており、更には優作の双子の兄
といったギャグ要素を肉付けして完成です。

一貫して謎だったのが先の大戦で「戦況を一変させる兵器」というのが、果たして令和において有効なのか?という点でした。少なくとも現代を生きる武器商人が血眼になって探すには不自然な設定ではないかと思うのです。
いや、カドクラならやるか?アイツならやりうるか?無能な部下も叱責するだけで普通に助ける、闇組織にあるまじき人柄選任タイプの管理職ならやりやがるか?

例えばボツリヌス菌とか生物兵器なら分かるのですが、そのような描写もなく。暗号機でしたー!とされても観客側からすれば「でしょうね。」としか思えず。


では、何なら納得出来たか。個人的には「子どもを大人にする薬の開発」だったらどうかなと思いました。それに伴う膨大な人体実験の記録。
良くも悪くも戦況を一変させてしまう兵器。むしろ悪い方に変えてしまう代物。アポトキシンオルタナティブ。

当時の軍需品なんて、サイズ別に分かれている訳ないじゃないですか(偏見)
なので、手っ取り早く戦力になり、装備を扱えるよう子どもを強制的に成長させる薬。
その中枢にいたのが斧江家で、暗部ゆえに抹消しようとしていた。
武器商人としては応用すれば最強の兵士を作れるし、最低でも斧江家をユスるネタになるので狙う。
そこでチョロっと黒の組織を絡ませて「実際にはクソの役にも立たない代物であると確認済み」とすればカドクラと福城も絶望させられます。
そして作中通りの「寝た子を起こすな!」という書き置き。withおびただしい量の胎児ホルマリン漬。
場面転換、そして黒羽盗一登場。

これだったらスタンディングオベーションですよ。個人的に最もシビれる展開。
悪の次元というか、方向性を変えて欲しいんですよ、盗一には。

とはいえ、劇場でここまでストーリーが進展するとは思いませんでした。
今後もコナン映画は要チェックします。