さいらー

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)のさいらーのレビュー・感想・評価

4.3
平次×キッド×コナンが活躍しながら、ちゃんと謎解きをやってくれるので、初期に近い雰囲気が味わえる。
そして平次とキッドを扱うにあたっての過去作オマージュなのか、クロスロードや世紀末と似たシーンが多かったのも好印象。


本作において冒頭の殺人事件はストーリーの起点でしかなく、メインはその犯人探しではなく宝探しの謎解きにある。
一応その宝探しが殺人事件に絡みはするし、その過程で犯人も2択まで絞れはするのだが、犯人探しのミステリとしてはイマイチだろう。

しかし宝探しの謎解きは面白い。
宝を追う勢力が概ね三勢力あり、その勢力間の抗争や探り合いに起因するアクションシーンを挟みながら、着々とヒントを集めて真相に迫っていく流れはテンポも良く退屈しない。
ここが、本作で最も評価できるポイントだった。コナン弱者の自分が最も楽しめたポイントと言っていい。

また、宝の正体がおそらく肩透かしなものであろう事は早期にわかるうえ、その正体に関してもある程度想像できる。
そしてその正体は、映画好きであればおそらく観ているであろう"ベネディクト・カンバーバッチ主演のあの作品のアレ“であり、そこへの解像度が高いと納得度も高まる。
映画内での説明はかなり簡素なものだが、それはこの映画が宝の正体よりも、宝探しの過程を重視している故だろう。


この事件や謎解きが、本作で描かれ明かされる既存キャラクター達のアレやコレやに直接関わってこないのは少し脚本として残念な部分ではあったものの、それでも一本の映画として観た時に満足に楽しめる出来栄えになっていたのは評価できるポイント。
昨年に続き、確実にコナン映画のクオリティが高まっていることが感じられる一本でした。