わがはい

テルマ&ルイーズ 4Kのわがはいのレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)
3.9
女性同士の『俺たちに明日はない』といった趣き。
日本公開は1991年だそうだが、当時はバブル崩壊元年、まだまだ男性優位社会であり、会社では現代とは比にならないほどのハラスメントが横行し、女性は灰皿の片付け・お茶出し・コピー取りが専門、20代半ばから後半に寿退職したあとは専業主婦へ・・・というのが割と普通の時代だった。

それは度合いは違えど世界で通底としてあったようで、本作品の主役であるテルマとルイーズもどこか退屈で窮屈そうに暮らしている。
そんなふたりが日常のガス抜きに旅に出かけ、ある一夜をキッカケに雪だるま式に取り返しのつかない事態に膨らんでいく。

最終的に衝撃的なラストを迎えるのだが、逃げ場をなくしたように見えて自由を手に入れたとも言えるし、惰性で愛を感じれないパートナーとダラダラ生きるよりもソウルメイトとの永遠を選んだラストシーンは儚くも美しかった。

ただこれを言うのは野暮だが、、
鬱屈した日々を送っているテルマはチャーミングだが鈍臭く、すべてのトラブルを運んでくる。一方のルイーズは過去に大きなトラウマを抱えているものの快活で、愛し合うパートナーもいて、正直巻き込まれ感に同情しなくもない。
また、姉御感の強いルイーズよりも純粋で世間知らずのテルマのほうが過激になっていく様はリアルだったが、マッチポンプ的で若干イライラした。

とはいえ、日常に潜む小さな不満から徐々にストーリーをドライブさせ、あのラストシーンに繋がる構成は痛快だ。
(余談だが、若き日のブラピが美しすぎて男の自分でもストーリーがブレるくらい見とれてしまった。まぁとんでもクソ野郎役でしたが笑)
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