わがはい

未来少年コナン TVアニメ版のわがはいのレビュー・感想・評価

未来少年コナン TVアニメ版(1978年製作の映画)
4.3
宮崎駿の実質の初監督アニメーションとして名高い名作を映画館で鑑賞。
フィルマークスが資本で第1〜4話をまとめて特別公開。

冒頭、コナンの躍動感溢れる登場シーンだけでワクワクと同時になぜか涙腺が緩む。
名シーンだらけだが、おじいがいなくなってしまったあとのシーンが特に白眉で、とてつもない絶望感の中で湧き上がるぐちゃぐちゃの感情と反動する少年のエネルギーを見事に表現している。

ジムシーとの喫煙シーン(タバコではなくタバタバ)や、バラクーダ号での船員による拷問シーンは今ではコンプラの観点で放送できないであろう。
実際、屈強な大人たちによる少年2人への拷問シーンは意外なほど容赦がない。
でもコンプラ規制で隠せるほど世界は甘っちょろくない。観てる側の痛々しさをよそに少年たちは成長していく。

個性豊かなキャラクター含め、ストーリーにも以降の宮崎作品に繋がっていくものが散りばめられ、まさに原点というべき作品となっている。
愚かな人間が犯した終焉後の世界という厭世観はナウシカ、少年が少女を守るための冒険譚はラピュタ、囚われの少女を助けるべく仕掛けだらけの敵のアジトに侵入する様はカリオストロを想起させる。

ペシミスティックな内容を快活なキャラクターとストーリーで中和しているのもまさに宮崎駿の本質だ。
(晩年の宮崎作品はこの快活さがなくなってしまったためにイマイチ乗り切れないのだ。。)

コナンは、おじいを想い出すことはあってもノスタルジックになることはない。生まれ育った故郷をたった1人で旅立ち、仲間と出会い、大切な少女を助けに向かう。

今の時代こそ、無鉄砲で向こう見ずでドン・キホーテ的な少年の愛と勇気と友情の冒険活劇が必要だと思うのだが、どうだろう?
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