このレビューはネタバレを含みます
あの大傑作インサイドヘッドの正統続編とのことでハードルはものすごく高かったのだが、まあ良かった。
続編として、作品を次の題材に運ぶための足がかりというのはとても重要なものだけど、それを思春期への移り変わりとして完璧に移行してみせたのは、感情をダイレクトに描く作品としての正当性に溢れていて気持ちが良かった。
そうやって本作で描かれる思春期の心の揺れ動きも前作同様見事なものだった。心の中での出来事一つ一つがライリーの一挙一動を詳細に決定する感覚はやはり楽しい。
特筆すべき部分は山ほどあるが、本題ともいえる終盤が特に響いた。感情たちに悪意は一切なく、誰しもが当たり前に当人のことを思っている。だから数ある感情の中から幸福を司るヨロコビがリーダーとして選ばれているし、最終的な決定権もヨロコビにある。インサイドヘッド、本当に親心をくすぐられる作品です。感情が選別した自分ではない、本当の自分を自身の感情が抱き締めるあのカットがすべてでしょう。
あの大傑作をそのままに、よくぞ進化させてくれたと思います。2が出ると知った時は渋い顔をしたものですが、見終わった今、このままのシリーズ化を熱望しています。ここから先、より面白くすることが難しくなるとは思うものの、やれること・やるべきことは沢山あるとも思います。更なる続編を、どうか。
