◯感想
笑えた。
『カメラを止めるな!』と今作を比べる気持ちはあんまりわからなかった。僕は映画『テルマエ・ロマエ』と比べてしまった。
タイムスリップして、現代日本の社会に戸惑うといえば『テルマエ・ロマエ』。そこが笑いどころだった。これはまぁそうよ、タイトルから予想できること。
以下、ネタバレあり
じゃあそこで笑えたかと言うと、『テルマエ・ロマエ』と比べてあまり笑えなかった。慣れてしまったのかな、こういう笑いに。笑いって、おもしろい、って難しいな。慣れって怖いな。
ではどこで笑えたかと言うと、斬られ役になるために弟子入りしたのに、斬られそうになったら受けてしまったり、隙を見つけたら斬ってしまったりするところ。
『カメラを止めるな!』との共通点は、インディーズ映画が単館から全国へということだと思ってたけど、それだけではなかった。「映画を撮る映画」(パンフレットより)であるという共通点もあった。
作品の特徴は、セリフやナレーションで説明的な作品。
これは老若男女わかるように、ということらしい。たしかに。わかりやすかった。
「子供から大人まで楽しめる娯楽作品」を標榜している未来映画社の作品なんだから、当然。
映画を撮るのにどれだけのお金がかかるのか、よく知らない。けど、時代劇を撮るのはお金がかかるらしい。
パンフレットを見てみると、監督は当初億単位を想定していたらしい。それが、格安で貸してくれる人が現れて、でもマンションが買えるほどの額。車を売ればなんとかなるだろうと腹をくくったらしい。しかも残された期間は7か月。
この作品を創り上げたこと、すごい。。。
◯パンフレットを読んで良かったこと。思ったこと。
・未来映画社という存在を知ったこと。
・映画に登場する剣心会には、東映剣会(つるぎかい)というモデルがあること。
・「五万回斬られた男」福本清三さん。
・『ごはん』という作品を観てみたい。
・未来映画社の看板女優でヒロイン役だけでなく助監督も小道具も制作もいろいろこなした沙倉ゆうのさん
・安田淳一監督も監督だけでなく、脚本、撮影、照明、編集、車両、他にも。
※安田淳一監督も沙倉ゆうのさんもエンドロールで驚いた。
◯印象的なセリフ
・高坂新左衛門「今日がその日ではない」
◯あらすじ
時は幕末、京の夜。
西経寺の山門前で会津藩士高坂新左衛門と村田左之助は暗闇に身を潜めていた。
「長州の山形彦九郎を暗殺せよ」
家老直々の密命は下士の次男三男の二人にはこの上ない名誉に思えた。
「なんとしてでもご期待にそわねば・・・」
新左衛門がたすきを締めなおす。
家老はと言うと、首尾よく討ち果たせば「わが手柄」として藩主容保に報告する腹づもりである。不首尾に終わり二人が討ち死にしても、血気盛んな下士の暴走と捨ておくつもりであった。
そんな思惑も知らず、新左衛門と左之助は己に課された使命に命を捧げようという健気さである。
しばしの後、長身痩躯の侍が提灯を手に歩いてきた。
功を焦った村田左之助がいきなり飛び出す。
「馬鹿っ」新左衛門が後に続く。
左之助はあっさりと気絶させられる。
山形と新左衛門、斬り合い。
雷に撃たれる。
新左衛門、目を覚ますと、そこは長屋路地。
歩いていると話しかけても誰も答えてくれない。
そこは現代の時代劇撮影所だった。
リハーサル中。
女性が悪漢3人組に襲われている。それを退けた心配無用のすけ。
次は本番。心配無用のすけに加勢しようとして怒られる。
助監督の山本優子と出会う。
新左衛門、頭を打って気絶。病院へ。
病院から抜け出す。
江戸時代から140年経っていることを知り、驚く。
帰りたい。
寺で倒れているところを見つかる。
おにぎりに感動。
寺で住み込みでお手伝いすることに。その寺はよく時代劇の撮影で使われるから、優子と知り合い。
ショートケーキに感動。
優子が助監督を担当し、新左衛門が邪魔した時代劇に感動。
寺で撮影。斬られ役の一人が体調不良。新左衛門が代わりに出演。見事な演技。
新左衛門は優子のつてで剣心会に入ることになる。
斬られ役だけで食べていけるかわからない時代。はじめはそこを師匠は懸念していた。
稽古。斬られるどころかクセで斬ってしまう。
斬られ役デビュー。
1年後、元時代劇スターの風見恭一郎が時代劇に復帰するという。監督にはハリウッドからも声をかけられる程の人物。
その風見はなんと、三十年前にタイムスリップしてきた山形だった。最初、新左衛門は風見のことがわからなかったが、左之助はあの後どうなったんだろうと言われ、気づく。江戸時代には新左衛門の方が年上だったが、今では年下。
風見は相手役に新左衛門を選ぶが、新左衛門は拒否する。
剣心会の師や優子の言葉もあり、出演することに。
新左衛門は時代劇を捨てた風見が許せない。なぜ風見は時代劇を捨てたのか。それは、江戸時代に一度人を切り捨てたから。時代劇で人を斬るたびに、その光景を思い出す。
風見、新左衛門のおかげでトラウマを乗り越える。
中打ち上げ。
風見による乾杯の音頭。十年前はまだテレビをつければ時代劇をやっていた。昔は時代劇撮影所も忙しかった。それが今では、、、
風見は新左衛門が優子に恋していることに気づく。
台本を少し改変される。その台本を読んで、会津藩の人々が無念の死を遂げたことを知り、ショックを受ける。
新左衛門、酔っ払って嘔吐。若者に暴行される。
新左衛門、セリフ間違え。
新左衛門、監督たちに真剣で撮影することを提案。優子は反対。監督や、風見は賛成。
剣心会の師やプロデューサーは困る。
真剣での撮影。全てアドリブ。
台本とは異なり、新左衛門の勝利。
ただし、風見を斬ってはいない。
風見、時代劇も何もかもいずれは忘れ去られるのだろう、と言う。
新左衛門「今日がその日ではない」
風見、新左衛門に優子にアプローチを勧める。
新左衛門「今日がその日ではない」
上映も高評価。
新左衛門はまた心配無用のすけの斬られ役として出演。
左之助、タイムスリップしてくる。