話を盛って感動を押し売りするような作品じゃないところがとても好印象
〈ネタばれあり〉
夫婦揃ってろうあ者なのに子どもを育てるなんて!って周りからの反対を振り切って産んだ子。その子の成長と家族の日々が淡々と描かれている。
息子に対する両親の純朴であったかい眼差しがとてもいいー親ってありがたいって思えるような
成長していく中で生まれるコーダとしての葛藤が誇張なく自然な流れで描かれていて、彼のどうしようもなくやり切れない思いがじわぁーと伝わってくる。
思春期の親への反抗、子を思う親の理解されない苦しみ、その辺りがさり気なく描かれている。
母親が息子の声をちょっとでも聞きたくて大金はたいて手に入れた補聴器〜耳に付けながら息子に「なんか喋ってみて」息子「なんかって何を」かすかに聴こえて感動する母親と白ける息子。そんなちょっと切ない日常のエピソードがとても好ましい。
終盤、息子が上京する際、故郷で過ごした両親との思い出が脳裏に蘇ってくる場面〜ちょっとうるうるしてしまった。