2024新作_111
こうして、アメリカが終わる。
【簡単なあらすじ】
連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“西部勢力”と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。「国民の皆さん、我々は歴史的勝利に近づいている——」。就任 “3期目”に突入した権威主義的な大統領はテレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。ニューヨークに滞在していた4人のジャーナリストは、14ヶ月一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うため、ホワイトハウスへと向かう。だが戦場と化した旅路を行く中で、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていくー
【ここがいいね!】
予告ではアメリカの分裂と戦場が描かれる作品だと思っていましたが、実際には戦場カメラマンの物語でした。
戦場カメラマンのロードムービーとして展開される点が非常に印象的で、観客を深く引き込む要素となっています。
主人公たちが、強引に三期目を迎えた大統領に近づき、インタビューを試みるまでが描かれています。
その過程で若い女性戦場カメラマンとの出会いが描かれ、彼女が本当の戦場カメラマンとして成長していく過程は感動的で、戦場のリアルさが非常によく表現されていました。
また、ポップソングやヒップホップが挿入されることで、状況を皮肉るような演出がされていたのも興味深かったです。
この作品のもう一つの魅力は、戦争の恐怖や悲惨さを描きつつも、ユーモアや音楽を通じて観客に一息つかせる瞬間を提供していた点です。
特に、厳しい戦場のシーンの中で軽妙な音楽が流れることで、一種のカタルシスを感じることができました。
【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
戦場カメラマンになることが、成長だけでなく、冷酷さや何かを失うことが求められるという点も描かれていました。
ホワイトハウスに近づく過程で命の危険にさらされるシーンがあり、その緊張感がしっかりと表現されていましたが、ロードムービーとしての展開が少し長く感じる部分もありました。
その冗長さが気になる部分もありましたが、その冗長な部分があるからこそ主人公が戦場カメラマンとして成長していく様子が描かれているとも言えます。
また、内戦の背景や大統領の死後の展開が十分に説明されていない点が残念でした。この部分がしっかりと描かれていれば、より一層の深みが増したのではないかと思います。
映画のラストがやや唐突に感じられ、観客としてはもう少し詳しい背景説明が欲しかったです。
【ざっくり感想】
今年公開された映画の中でも重要な作品の一つであり、歴代で最も制作費がかけられた作品として硬派な内容でした。
戦場カメラマンの視点から描かれる物語は新鮮であり、観客に深い印象を与えるものでした。見応えのある作品でしたので、多くの人に見てもらいたいと思います。
戦争とその背後にある人間ドラマを描くこの映画は、思考を刺激し、視覚的にも楽しめる一作です。
特に、戦場のリアリティを追求する描写と、その中での人間関係の変化が巧みに描かれており、観る人に多くの感情を抱かせることでしょう。
この映画を通じて、戦場の現実とその中で生きる人々の苦悩や葛藤に思いを馳せることができる貴重な体験ができました。