ぴー

リアル・ペイン〜心の旅〜のぴーのレビュー・感想・評価

リアル・ペイン〜心の旅〜(2024年製作の映画)
3.9
ジェシーアイゼンバーグ節全開というか、彼の持ち味が思い切り(決して過剰にならず)引き出される脚本だった。圧倒的セルフプロデュース力。
撮影も抜群に綺麗で良かった。

ベンジーみたいな奴ってたぶん本当に従兄弟に1人ぐらいの割合で存在してる(そしてそいつはブロックバスター以外の映画なんて観ない)。
サーチライト映画なんて観てる奴は必然的に少なからずデヴィッド側になるわけで、誰しも微妙に苦い思いをしながら観ることになるんじゃなかろうか。その居心地の悪さったらない。
人間はある種の不良性に魅了される。とっくの昔に諦めたつもりでも、心の何処かではああなりたいと求め続けてる。
ツアーガイド、参加者との別れのシーンが痛いほどリアル。気を遣いまくった末にこの仕打ちか…と。

「感じる“べき”痛み」と「本当の痛み」との対比。
歴史の悲劇を矮小化するわけではないけれど、いま自分が目を向けるべきは誰のどんな痛みか?

ルーツと言っていい場所には当然ながら既に別人の生活があったが、デヴィッドにとっては自分を出迎えてくれる家族(のいる家)こそが帰る場所だった。
唯一の心の拠り所だった存在を失って、石を置く家もなく揺蕩うベンジー…冒頭とラストのキーランカルキンの表情はどう違ったか、違わなかったか。
ぴー

ぴー