ジョン・クラシンスキー監督と言えば、「クワイエット・プレイス」の恐ろしいイメージがありますが、ここまで作風を変化させられるなんて、俳優出身の演出家の特徴なのでしょうか。
物語は、「トイ・ストーリー」と「モンスターズ・インク」の要素があるし、主人公は13歳のビーですが、大人になってからのイマジナリーフレンドとの関係性がテーマなので、子ども向けの作品ではないように感じました。
こういうモンスターのような姿のイマジナリーフレンドは、子どものころに出現するのかもしれませんが、脳内で会話の相手だけになるようなものは大人にもあるはずです。大九明子監督の「私をくいとめて」に登場した“A”がそれにあたりそうです。精神の安定に作用するなら、むしろ大人にこそ必要なものかもしれません。
実写とピクサーのアニメが融合したような映像でしたが、CGのクオリティがしっかりしているので、荒唐無稽な雰囲気になりません。終盤で判明するビーの隣人であるカルの正体は、なかなか感動的な結末につながります。彼の言動や振舞いがどんなものだったのか再確認したくなりました。
ただ、自分にはイマジナリーフレンドの出現を経験したことがないので、なんとなく概念だけで理解するしかありませんでした。自分の生活や将来を物語のように空想することはありましたが、それもいつの間にか…、やっぱり大人になってからやめてしまいました。とてもリアルなかたちで“夢”を描いていたということだったのでしょう。
いわゆる“大人げない”言動とか、大人になりきれない社会人にはよく出会うし、ちょっと迷惑な存在であることも少なくありません。子どもの“心”を忘れないということは、それと一緒ではないはずなので、そういう感覚を思いださせるということでは、なかなか意義深い作品でした。