りょう

異端者の家のりょうのレビュー・感想・評価

異端者の家(2024年製作の映画)
4.0
 Filmarks試写会に招待くださりありがとうございました。
 “宗教が全否定される映画”という情報があり、そのバイアスのもとで観ましたが、“異端者の家”の家主であるリードに2人の宣教師はそれなりに反論していました。物語そのものも宗教をリスペクトする展開でまとめられていたと思います。リードの持論は既存のものだし、その究極の解釈(結論)も奇抜なものではありませんが、終盤の展開や彼のやっていることの醜悪な実態を表現するには効果的でした。
 宣教師とリードは2対1の構造なので、宣教師たちが優勢なはずですが、この閉鎖的な屋敷では圧倒的なアウェイの空間で、まったく脱出できそうな予感がありません。彼女たちの絶望的な表情がそれをうまく表現していました。
 2人の宣教師には明確な個性があって、さまざまな会話で少しずつ判明していきます。リードは、それを品定めするように質問したりしながら、自分の宗教観を実践するにふさわしい相手を選択したのでしょう。中盤に訪れる突然の惨劇が意外な展開で、思わず「エッ?」って言ってしまいそうでした。その先の展開が不安になりますが、さらに“堕ちて”いくばかりで、絶望感がハンパありません。
 彼女たちの反撃が伏線回収のセオリーどおりなところは残念でしたが、他にも示唆的な表現がたくさんあったと思います。もう1回観れば物語の解像度がさらに高まりそうです。シスター・バーンズを演じたソフィー・サッチャーがレア・セドゥに似た顔立ちで素敵な女性でした。エンドロールの“Knockin' On Heaven's Door”も彼女の歌声だったようです。
 モルモン教は、自分が大学生を過ごした街に2人組の宣教師がたくさんいて、よく声をかけられました。アメリカから来日していたらしく、英語まじりの日本語だったので、個人的には、ずっと“No thank you”で応答するしかありませんでした。熱心に活動しているところは好印象でしたが…。そのころのモルモン教の知識があったので、3人の会話も意味不明にならずにすんだのかもしれません。2人の宣教師の境遇とか、リードの持論の根拠とか、宗教の知識があればあるほど面白い作品だと思います。
りょう

りょう