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ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争のarchのレビュー・感想・評価

3.5
「暗い部屋で黒猫を探すのは難しい、居なければ尚更だ」

この映画の本質、ゴダール映画の本質、そしてイメージの本質が多分この台詞に凝縮されているのだろう。というかそれぐらいしかお土産はない。

ゴダールというネームバリューが至らせる狂気、稚拙さ、難解さ。この特権性に鼻白みながらも、どこかこれを見に来た気さえするのはなぜなのだろうか。
暗闇で、しかも無音だったりする中で、強制的にそのイメージの羅列を浴びる。いや、浴びるというか、前を通過していくという方が正しい表現だろう。

ただのインスタレーション。最後まで2次元なペラッペラな軽薄さしか感じない。やりたかったのは、最後の「黒」なんだろう。分かってんだよこっちは。
「映画」というスクリーンのイメージを司った男の遺言に相応しい作品だった。
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