メランクさん

オスロ・ダイアリーのメランクさんのレビュー・感想・評価

オスロ・ダイアリー(2018年製作の映画)
5.0
「オスロ合意」という言葉は知っているし、
ビル・クリントンを真ん中に置いたイスラエルの首相とアラファト議長が握手するビジュアルは記憶にあったけれど、
結局のところパレスチナの問題は今日までずっと続いているし、
つまり大した意味はなかったってこと。

それがオスロ合意の印象だったし、
今作を見てもやっぱりそれはそうなのかもしれない。

でもそれを実現するために議論を続けた両陣営の人々の存在や、
そこに込められた和平への思いは
こんな形で残されるべきだと思った。

ペレスの最後のインタビューの言葉、
「思い描くような勝利なんてありえない、
被害者が生まれ続けるだけだ」という言葉は
本当にこの問題の芯を食ったものだと思う。

水面下で政治家、学者が必死に交渉を続ける一方で、
大量殺戮や爆破テロは繰り返され、
とにかく西岸地区からの撤退、入植者の退去なんて全く可能だったようには見えない。
だから首相の暗殺がなかったところで未来は変えられたのか?
それはちょっとわからないなぁと思う。

生きてるうちに何かが変わる可能性は本当に薄く感じるけれど、
今日もどこかで解決を目指してる人がいる。