東朴幕院

箱男の東朴幕院のレビュー・感想・評価

箱男(2024年製作の映画)
3.7
『砂の女』で有名な安倍公房の原作で過去に突然の制作中止という憂き目に遭い、今回漸く映画化に漕ぎつけた作品だ。

世間との関わりを完全に断ち、段ボール箱をすっぽりと被り、穴を通してその世間を『覗き見る』箱男に永瀬正敏劇場演じている。
その箱男を付け狙うのがワッペン乞食であり、何ともエキセントリックな場面からスタートする。
しかし同時に箱男を付け狙うのがライフルを担いだ、後の偽医者という訳で中々意味不明な内容。
それでもしきりに覗き見る、見られるというのは全く『ノープ』と同じ表現ではないかと思ったり。

そして浅野忠信演じる偽医者の愛人である葉子が全く持って色っぽい。

監督は石井岳龍で彼の執念で作品が完成したのだが、作風は曲調などからデヴィッド・リンチのそれを意識しているのは明白な雰囲気であったね。

終盤は、原作の持つメッセージとして色濃い本物と贋物の区別もしっかりと描かれていて好感持てるものであったね。

見るものを選ぶ作品であるが見る価値は十分にあったと思うね。
東朴幕院

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