回想シーンでご飯3杯いける

余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.8
難病や障害を持つ主人公に同じ境遇の人物と出会わせる設定は海外の映画でも何度か見たし、2人が同じ立場にある事で画面内に「可哀そう」の感情が漂わず、予想外に力強い作品になる事が多い。

本作もその例に漏れず、余命半年という少女の境遇に対して、変に感傷的にならない余命一年の僕の組み合わせが、難病ものにありがちな湿っぽさを上手く打ち消している。

そして、やはり三木孝浩によるどこまでも真っすぐな若者の描き方が潔い。彼の作品を観るのは、なんと12本目になる。殆どの作品が現代の若者を描いているのに、SNSやいじめの話が殆ど出てこない。くだらない時事ネタやリアリティよりも、いつの時代にも共通する若者ならではの純粋さを大切にする作風は、今回も健在だ。

ベストセラー小説が原作で、このタイトルを見た時は流石に下品に思えたけど、挿入曲「若者のすべて」もストーリーにがっつり噛み合って、満足度の高い作品に仕上がっている。

余命一年の僕が書いた余命半年の君の肖像画がイマイチだったのが残念(大事なシーンなのに!)。絵より美しい出口夏希が罪なのかもしれないけど。