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パレードのfilmaholicのネタバレレビュー・内容・結末

パレード(2024年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

藤井監督がすごいスピ―ドでドラマや映画をどんどん作る中で、河村さんとの別れがあってもその手を止めるでなく映画にして残したい思い、があったのかなって知った風な言い方だけど。賛同した俳優陣やいつもの仲間との絆というか、これからもこの人たちと映画作るから見ててくださいなのか、映画作りたくて未練がましくそこにいてくれていないかな~みたいな素直な想いと、未来への希望をひしひしと感じた。
ブラッシュアップライフしかり、死んだあとどうなるかはもちろんわからないけどこうして好きな作り手がそういった世界をどんどん想像して映像にしてくれることで、じゃあ自分は死後の世界ってあると思う?あるならどんなだと思う?と考える時間が増える。

味がないけどとりあえず食べる、飲む、食卓を囲む...
トイレは?欲求はあるの?寝るの?お互い触れて暖かいの?などの初歩中の初歩の疑問も消えるようなお芝居や展開の連続、あとはやっぱり逝く方の未練とか願望に見えて、残された方の願望も強いというか。
彼の死後、新たな人と結婚するかも、な場面をもしかしたらどこかで見ていて、もういいよ、幸せになれよ、って思ってくれてんじゃないか、って残った方も思いたいように私は思うから。本当にそうなるかはわからないけどそう思って前に進めたり気が楽になるならそれも生きている人間の特権だなと思った。
てっきり大震災で沢山の人が来るかと思いきやグループはあるらしく、さらには事故、自殺、未遂のさまようものすらこれる場所、つらつらと歩くそのさまをパレ―ド、ハッとした。なるほど。そこ。

それぞれが抱えるもの、それぞれの人生は亡くなればそこで終わり、誰とも笑い合うこともなく天国へ,,かもしれないし、ふとああやって死んでなお誰かと笑い合えていればいいなとか、想像がふくらむ。
河村さんへの想いの作品と思いきや企画がそもそも河村さんだったので、一緒に作ろうとしていたさなかお別れになったのかな。
そしてそののちにこう作ったのか、完成していて披露する前に亡くなったのか...わからないけど、受け手以上に作り手が思うところがあった、監督や横浜流星くん、そして綾野剛さんや多くの表役者にも。それは感じた。セリフがなくともその場にいられることにすら感謝しているかのような、どの映画の誰になってるんだろな綾野剛君よかったな、知らなかったからびっくりした笑
奥平くんと森七菜ちゃんが託された未来のようでよかった。
ななという名前で制服、まるで是枝監督にすず役をもらい制服を着ていた海街の広瀬すずを彷彿とさせるような、役どころでも、そして映画界としても”未来”だった、よかった。そしてそれをまた見守る長澤まさみ、坂口健太郎、リリーフランキー...是枝組かと思ったら藤井組というこれまた贅沢な配役。

見守っていてほしいような、旅立ってほしいような
触れてほしいような、ほしくないような
お別れしたいような、そばにいてほしいような
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