ハル

パレードのハルのレビュー・感想・評価

パレード(2024年製作の映画)
3.9
死んだ後、自分が元いた世界を見たいと思いますか?
『パレード』は現世に未練を残した面々が集まり、亡くなる前の人生、人々に思いを馳せる物語。

大切な人、大切に思ってくれた人達。
彼らの人生は続いていく。
その輪に自分がいない切なさとそれでも幸せに生きていってほしい“願い”のコントラストが純度高く描かれていた。
藤井道人監督の映し出す世界はいつだって儚く、真っ直ぐだ。
野田洋次郎の透き通った歌声との相性もピッタリ!

キャストは実力者が揃い踏み。
長澤まさみ、横浜流星、坂口健太郎、リリー・フランキー、森七菜…豪華絢爛な面子。
彼らがやり残したことを成し遂げ、旅立つ過程を眺めていると、昨年末に天国へ行った愛犬のことを思いだす。
もし、新しくワンコを迎え入れる事になったら淋しい顔させちゃうよな〜
近くで見ているかもしれないし…

生きているときも死んでしまった後も人の考え方は十人十色。
人生は尊く一回きりのものだということが深く沁み渡ってきた。

森七菜演じるナナをキーファクトに据えた、ラストへの流れも凄く心地よいもの。
感情の波を凝縮させるシークエンス、藤井道人監督は構成の仕方が本当に上手だと思う。

恐らく、やり残しがない人生なんて存在せず、“死”はいつ訪れるかわからない。
だからこそ、周りにいる人達を思い、日々精一杯過ごすことが大切だと優しく諭してくれる、心を伝う作品でした。
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