推しがヤバい性加害者だと判明。
推しの歌声や笑顔が日常の元気の源だったのに…
うん。
一見(悲しい方の)推し活あるあるだが、本気で人生の大部分に情熱・時間・お金を注いで来たファンにしてみたら戸惑い、悲しみ、情けなさのせめぎ合いだ。もちろんそんなファンらへの救済制度もカウンセリングサービスもあるはずもなく。アイドルがもはや国の文化であり経済コンテンツとなった韓国ではケアしなくてはならない新感覚な社会課題だろう。
初日ということもあり韓国から来日した監督のトークセッション付きで鑑賞。会場には監督同様「推してた芸能人がなんらかのトラブルで表舞台から消えた」経験を持つ人も多く来場していたようで、もはや「推しの失墜経験」は今までクローズアップされてこなかった世界共通テーマのよう。
同様の経験を持つ女性達の独白で構成されたルポ風の本作。
ヤバい犯罪者だった推しに失望する人、嫌悪感を抱く人、失望しつつも嫌いになんてなれない人、嫌いになれないのはそれまでの自分まで否定するようだから。
そこには誰かを応援し、元気を貰うことを無意識に大切にしている私たち人間のエゴと愛らしさが存分に詰まってる。
そして何人かはこうも語る、
新しく推したいと思う人が出来ても「きっとこの人もいつかはやらかす、ワルっぽいキャラはキャラじゃなく素なんだろうと疑ってしまう」と。
社会学的な目線で最高に面白いテーマとまとめ方。チャーミングな監督の人間性も反映されておりました。ちなみにタイトルの『成功したオタク』の意味は、推しに認知されておりファンの中でも有名な熱心なファンを「成功者」と呼ぶらしく、実は『成功したオタクの末路・迷走』とも呼べるアイロニックなドキュメントです。
