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ひかり探してのIPPOのレビュー・感想・評価

ひかり探して(2020年製作の映画)
3.2
キム・ヘス姉さんの渾身の演技を味わう一作。

台風の夜、島の崖から身を投げた女子高生。遺体は見つからぬまま自殺と処理されようとしているこの事件の最終報告書の作成を任された刑事のヘス姉さん。
ヘス姉さん自身も夫との離婚協議に起因したメンタルの不調がやや深刻で休職明けの軽い業務として引け受けたのだが、女子高生の抱えた背景や島の生活を辿るうち、女子高生は本当に自殺だったのか、真相解明にのめり込んでいく。

女性監督ならではの目線で声無き叫びが描かれる。
近年の韓国映画界は旧来の派手なノワールや復讐劇の一方で、こうしたヒューマンサスペンスがムーブメント化してるね。『82年生まれ、キム・ジヨン』、『はちどり』、『ユンヒへ』といった女性の人生にフォーカスした作品群から『次のソヒ』、『声もなく』といった女性監督による社会の末端に置かれた者たちの悲劇など。繊細かつ見る者に訴える上質な作品が増え続けてる。

本作の内容うんぬんより、韓国映画界がちょっとした曲がり角にあるのを感じ、監督・俳優ともに恐らく男性中心だった映画界が変わり始めた過渡期の作品たちには力があるなと思う一作。
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