松山洋

正義の行方の松山洋のレビュー・感想・評価

正義の行方(2024年製作の映画)
5.0
結論:めちゃくちゃ面白かった。本当に観てよかった。勉強にもなりました。(二重の意味で)

福岡県飯塚市で30年前に起きた殺人事件の謎を現在まで追ったNHKのテレビドキュメンタリーの映画版です。

もうね、正直前半は観ていて感情が(怒りで)高まり過ぎて大変でした。

まず冒頭から登場する(現在はとっくに引退している)当時の担当刑事たちが醜悪な老人すぎて本当に反吐が出る。

ドキュメンタリーとして登場していいのか?この人たちにも家族や子どもや孫だっているだろうに、よくこんな感じで生きてて身内は恥ずかしくないのか?と心配になるレベルでしたね。

決して誰かが作った物語ではなく実際に起きた30年前の事件のドキュメンタリーなんだけど、同じ福岡県民として『飯塚事件』のことくらいちゃんと勉強しよう、と思って観たけど本当に学びが多かった。

事件の内容もそうだけど、制作を担当したNHKの構成がとにかく抜群で上手すぎる。

まさにプロの仕事。

後半に登場する現在の西日本新聞社の担当二人が出てきてからようやく人間を見た気がしました。

それくらい全ての(当時の)登場人物が酷すぎる。

犯人の味方をするつもりは全くないけど(死刑執行されてしまってるし)真実はいったいどこにあったのか?というどうにもならないことをこうやって映像として観る価値のある作品に出来るって、それこそが凄い。(だからNHKが凄い)

女神像の話(欧州の女神は目隠しをしてるのに日本の女神像はしていない)がもう全てを伝えてる気がしました。

ただ犯人が最後まで黙秘したことも不可解過ぎて、まるで「こりゃどっちもやってんな!」という解釈しか出来ないほど煮詰まってる事件でしたね。(犯人は罪を犯しているし、警察も検察も証拠や証言を捏造して結論を早めてる)

本当にたくさんのことを考えさせてくれる作品でした。

158分という長尺をまるで感じさせないくらいに。
松山洋

松山洋