MasaichiYaguchi

終わりの鳥のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

終わりの鳥(2024年製作の映画)
3.8
クロアチア出身の新鋭ダイナ・O・プスィッチが長編初メガホンをとった本作では、命の終わりを告げる鳥と対峙する母娘を描く本作では、病気の少女とその母親が奇妙な鳥との出会いを通して、間もなく訪れるであろう別れを受け止めていく姿を、ユーモアを交えながら映し出す。
母ゾラと暮らす、病に侵され余命わずかな15歳の少女チューズデーの前に、喋って歌う変幻自在な1羽の鳥が舞い降りる。
それは地球を周回して生きものに命の終わりを告げる「デス」という名の鳥だった。
チューズデーはデスをジョークで笑わせ、外出中のゾラが帰ってくるまで自分の命を引き延ばすことに成功する。
やがて帰宅したゾラは鳥の存在に畏れおののき、愛する娘のもとから遠ざけるべく暴挙に出る。
本作で長編監督デビューを飾ったのクロアチア出身のダイナ・O・プスィッチ監督は、「デス」というチャーミングなキャラクターを造形する一方で、“死”という観念を奇想天外に視覚化し、その苦悩にも触れるなど奥行きのあるストーリーにしている。
掛け替えのない人の死は喪失感を与えて「負」のイメージが強いが、本作は、最後に残された者に対するエールのような言葉が出てきて心に残る、