福野ふくろー

かくしごとの福野ふくろーのレビュー・感想・評価

かくしごと(2024年製作の映画)
3.5
『狂気的母親役の杏さん鑑賞映画』

大傑作『生きてるだけで、愛。』の関根光才監督の最新作。『生きてるだけで、愛。』がうつ病の人間を描き切った傑作中の傑作だったので、期待して鑑賞。

あらすじは、作家の千紗子(杏)は、長年絶縁状態にあった父・孝蔵(奥田瑛二)の認知症の介護のため、渋々田舎に戻る。事故で記憶を失ってしまった少年(中須翔真)を助けた千紗子は彼の身体に虐待の痕を見つける。少年を守るため、千紗子は自分が母親だと嘘をつき、少年と暮らし始める話。

うーーーーーーーーん、本当に同じ監督!?と思うくらい微妙だった…。
いいところ見つけるのが難しいくらい。子役の演技、認知症のおじいちゃんの演技はすごかった!くらいかなあ。。

以下ネタバレ





なんだろう、話がどうこうとかより、ずっと小骨程度の違和感がある。
リアルなテイストなのに、キャストの若干オーバーな演技。特に千紗子を演じる杏とその友達。初めて杏さんの演技が下手に見えてしまった…。
子供を攫ってしまった事実にビクビクする友達オーバーだし、おじいちゃんを介護して泣くシーンとか、気持ちわからなくはないけどオーバーアクトすぎるよ。早く介護認定降りてほしいって言ってた人が、変わりすぎかなあ、、、
台詞もずっと気持ち悪い。釣りのことをやたら言う医者に、ほんと釣り好きなんですね、って杏に言わせて釣り行くとか、説明台詞が多い。粘土でアートするくだりも、記憶なくなるけど楽しくやりましたーみたいな説明シーンになっちゃってるし、ずっと気持ち悪い。あんなに繊細なセリフのやり取り書いてた監督は何処に…?

やろうとしてることは伝わる。毒親介護のしんどさと事故で亡くしてしまった子供への償い、それをたまたま出くわした子供に救いを求めて、誘拐という犯罪に手を出してしまう。その不条理さを描きたかったんだとは思う。
でもにしては、全てが中途半端。杏に感情移入させてほしい。出くわす前にもっとしんどさ積み重ねて、もっと子供に執着して、そりゃそうなっちゃうよね、、しょうがないよね、、、と思わせて欲しかった。その辺が全然ないので、ただただ杏が怖い狂気的な人として描かれてしまっていた。

子供が記憶なくしてるの引っ張りもくどかった。引っ張りすぎ。覚えてるだろうなって思うよそりゃ。

期待しただけに残念でした。また次に期待します。