みかんぼうや

JOY: 奇跡が生まれたときのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

JOY: 奇跡が生まれたとき(2024年製作の映画)
3.9
とても良い作品でした。この作品、ネトフリ制作のためかレビュー数がかなり少ないですが、テーマ的にもクオリティ的にも、もっとたくさんの方に観られて人気になってよい映画だと思います。ネトフリ配信の中でも有名な作品は色々あるのに、この映画が話題に挙がらないのはなぜでしょう?

内容はイギリスで人類初の体外受精、そして出産に尽力し成功した3人の医師、研究者、看護師の実話ベースのサクセスストーリー。その偉業とともに、主人公である女性看護師の女性としての葛藤と成長を描いています。

内容的にはかなり王道なサクセスストーリーの作りで、成功までの数々の犠牲と困難を乗り越えていく展開ではありますが、なんと言ってもその題材が、人類初の体外受精という興味深い内容ゆえに惹きつけられる点が多いです。

今から約55年前の世間の体外受精に対する見方は、本当に厳しく(「フランシュタイン作り」と揶揄されるなど)、3人が行っていることは非人道的行為と思われ、相当な批判を浴び、逆風のなかで犠牲も多かったようです。

が、それでも約10年間、「子どもが欲しい女性たちを一人でも救いたい」、「科学の進歩には、大きなリスクはつきもの」という自分たちの強い信念を持って諦めなかったからこそ、今でこそ体外受精は一つの当たり前の選択肢になったわけで、3人が力強くその成功に取り組む姿勢に純粋に感動しました。

テーマ的に重そうではありますが、作品としては、明るく美しい劇伴とともにテンポが良すぎるくらいサクサク進んでいきます。その分10年間の困難さと苦悩も実際に比べると軽めには見えますが、エンタメサクセスストーリーとしてかなり観やすい仕上がりで、人類の歴史の学びもある良作です。
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