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クワイエット・プレイス:DAY 1のtjrのレビュー・感想・評価

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万人にお勧めできる傑作「クワイエット・プレイス」シリーズにおいて、新たな切り口を提示した意欲作。

設定のみ踏襲してどう物語を紡いでいくか、というのは「ウォーキング・デッド」や「ボーン・レガシー」など数々の作品で行われてきたこと。
今作では、余命僅かな末期癌患者を主人公に据えることで“自分の人生をどう終わらせるか”を描いた人間ドラマになっている。

主人公サム、愛猫フロドという「ロード・オブ・ザ・リング」な役名を使うことで、ある目的のために過酷な道のりを踏破するというストーリーラインを明示する手法がオシャレ。
指輪を捨てにいく→ピザを食べにいく という変換もパーソナリティの掘り下げとして上手い。

ジョセフ・クイン演じるエリックの動機がいまいち掴めなかったが、家族は遠い英国の地、法律の勉強のために留学したが無法地帯となった世界に絶望し、目の前の藁に縋った…という理解でいいのか?

長編デビュー作「PIG」でジャンル映画と見せかけて重厚なドラマを描いたマイケル・サルノスキ監督。今作でもまさしくジャンル映画の中で人生を描き切っており、たった2作で作風が固まっている。末恐ろしい。
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