絵のうまさが自慢で学校新聞に四コマ漫画を連載する小学四年生女子で、ある日から同時に連載を始めたひきこもりの京本の画力に嫉妬して鍛錬を積むも一向に追い付けず諦めてしまった藤野。中学卒業時に初めて顔を合わせて自身のファンとの告白を受けた彼女が、コンビで漫画家を目指すもやがてすれ違っていく様を描いたアニメ映画です。
東北芸術工科大学出身でジャンプ系雑誌で活躍する藤本タツキが上梓して『このマンガがすごい!2022』オトコ編1位に輝いた同名漫画をアニメ映画化した作品で、多くの話題作で作画を担ってきた押山清高が初監督として共に活躍の場を広げる河合優実と吉田美月喜が声を担う物語を盛り立ると公開後に多くの観客から称賛の声を集めました。
名作と謳われた原作を忠実にアニメ化するリスペクト精神に満ちたスタイルで制作しますが、漫画であれば気にならなかった「背景」の極端なカットが映像的にも物語的にも不自然さを感じさせます。それでも実際に起こった悲劇を彷彿させる現実味がアクセントになって「二人」の関係性に特化した物語として観客の心に訴えかける一作です。