いはん

我、邪で邪を制すのいはんのレビュー・感想・評価

我、邪で邪を制す(2023年製作の映画)
3.9
こんな事を言うのは憚れるのだが、超絶スッキリさせられるシーンがございましたね。観た人なら全員分かる。

そのシーンについて、考えた事を少し書き出してみる。尊者が死んでなお、信者らは”信じる”事をやめず、尊者の後を継いだ弟子と共に歌を歌い始めた。陳桂林が感じたように、観るものもその異質な状況をの見込めずにいたと思う。そしてその理解不能な行為は、私たちを苛立たせ、怒らせる。こんな馬鹿げたことがどうして出来るのかと。そして彼らの罪を思い出し、彼らが陳桂林に殺されていくことに快感を覚える。宗教に身を捧げる行為、というか何かを信仰する行為というのは、自分の意思の一部を捧げているようなもの。意思決定の一部を捧げる事で、責任から逃れることができるようになる。尊者に捧げられた意思はもう己に戻る事はなく、尊者の死と共に意思は次の人に移る。それは弟子なのかと観ている時は感じていたが、今では陳桂林に移ったようにも感じる。だからこそ、陳桂林に銃を向けられても受け入れた。それが、信ずる者の意思ならば、と。

台湾映画すげかった。
昔ラブコメに出てた初々しいイーサンルアンも、こんな重厚感のある役をやるまでに成長しているだなんて、観ているこちらも年の重なりを感じますわ。
いはん

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