女性として生まれたことを「損」と感じる高校の教師で、親友である渕野美奈子の婚約者・早藤雅巳から強姦されて以来、人知れず関係を強要され続けている原美鈴。トラウマからEDに悩む男子生徒の新妻祐希からの相談に乗る内に心を開いて早藤へ拒絶の意志を見せ始めた彼女が、執着から暴走する早藤と対峙する様を描いたドラマ映画です。
女性漫画家の鳥飼茜が月刊モーニングで連載してフリースタイルが発行する『このマンガを読め!2005』で八位に選ばれた漫画作品を数々の漫画原作作品を手掛けた三木康一郎監督で映画化した作品で、性的な問題をテーマとする作品でありながら主演である奈緒のインティマシー・コーディネーター導入が却下されたことが批判を集めました。
多少の分別があれば機能である生理反応と人の感情は必ずしもイコールでない事、一つのお話で大きな主語を語るには相当の覚悟が必要な事は分かるものです。原作からエキセントリックな要素のみを抽出して扇情的な演出で描いた本作はそれらのかけらもない作り手の作品であり、それでも熱演した奈緒にあらゆる意味で謝罪すべき一作です。