ユーライ

ぼくのお日さまのユーライのレビュー・感想・評価

ぼくのお日さま(2024年製作の映画)
4.0
いかにも代官山オシャレファック然とした装いは全く気に入らないが、思ったよりよっぽどマトモだった。少年少女が内に秘めている性への関心がチラリチラリと顔を覗かせ、あわや取り扱いを誤った途端、楽園はいともたやすく崩落する。時の過ぎゆくままガキンチョ共は勝手に成長してゆくが、大人は癒えぬ傷を引きずり続けるという寸法だ。取り立てて成長もしなければ前進もしない、のっぺりとした人生の断面に向き合おうとしている。直接的には描写されぬが全編を覆っている性の気配……例えば開始早々主人公であるタクヤ君が寒空の下、野球の練習中にグラウンドでボーッと突っ立っている画が映るのだが、年端も行かぬ少年の未成熟な身体が剥き出しにされた生々しいエロスがある。監督は明らかに少女より少年に執着しており、その姿勢が独特の緊張感を生んでいる。いや結構なことだと思いますよ。後半になると、それまで触れていた世界の様相がガラリ一変、グロテスクな側面が剥き出しになる仕掛けは吉田恵輔と似てはいるが「映画的」という名目の下、泣いたり喚いたりといった修羅場には踏み込まない。こういう態度はあんまり好かないな。
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