午前十時の映画祭。4K版らしく、最新作かと見紛うような画質。世紀末救世主伝説として既に完成されており、『デス・ロード』よりこっち派の意見も頷ける。前作から一変、向かって来るなら殺しも辞さないアンチ・ヒーロー化したマックス。石油精製所の人々に歓待されようとも善意になびかない。人を信じられなくなっているからだ。こころはむかし死んだ。ほほえみには会ったこともない。きのうなんか知らない。あっしには関わりのないことでござんす。そう嘯く彼が「こんなおれにもはき気のする悪はわかる!!」となけなしの良心を振り絞って戦いに挑むからこそ感動させられるのであって、満身創痍の身体を突き動かす動機は薄っぺらい正義感とは無縁のものだ。死屍累々の荒野で、所詮囮に使われていたことを知った時の乾いた笑顔。トム・ハーディには出せない、メルギブだからこその危険な色気がここにはある。Youはshock！
