さすらいの用心棒

赤い風車のさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

赤い風車(1952年製作の映画)
3.8
ムーラン・ルージュで過ごした画家・ロートレックの生涯を描いたヴェネチア銀獅子賞受賞作。

ジョン・ヒューストン監督作品を追い求めてばったり出会った映画。銀獅子賞と言えば『七人の侍』や『雨月物語』『道』などの世界的傑作が並ぶ賞だが、本作が比肩するかと言われれば正直微妙なのだが、個人的にはかなり好きな映画。
事故のために短足になり、そのことにコンプレックスを抱く気難しくて頑固者のロートレックのキャラクターや、気性の激しすぎる女、彼の周囲にいる特徴的な人々、絢爛たる色彩や説得力のあるセリフの数々など、心を離さない要素の目白押しで、とても愛おしい。史実のストーリー化ゆえにすべてが納まるところに納まらないところがすこし不満ではあるけれど、画面の向こうで繰り広げられる大騒動の熱気に感化されるような感動があった。
ルノワール監督の『フレンチ・カンカン』など、ムーランルージュを題材にした映画には傑作が多いのかな。
ジョン・ヒューストンのエンタメ精神と芸術性が見事に融合した傑作です。