KnightsofOdessa

部屋 THE ROOMのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

部屋 THE ROOM(1993年製作の映画)
4.0
[囁き声で部屋探し] 80点

久しぶりの園子温。部屋を探す殺し屋の麿赤兒と彼に部屋を紹介する不動産係員の洞口依子がひたすら部屋を見て回りながらヒソヒソ声で話すという話。めちゃくちゃ抽象的な条件に対して、一切表情を変えずに次々と候補を出していくが断られ続け、途中から洞口依子も投げやりな態度になっていくのが面白い。最初は仕事をしている不動産係員っぽい表情をしているが、長引くにつれて部屋の説明も適当になり、移動中は麿赤兒の隣で音楽聴き始めたり寝始めたりする。オープニングクレジットで麿赤兒を殺し屋と紹介するせいで前半の部屋探しが"どうして殺し屋が新しい部屋を探すのか?"となってしまい、不気味さは半減してしまったのが惜しいところ。街に繰り出しても誰にも会わないみたいな不気味さも途中で破られちゃうし、絶妙に徹底されてない脇の甘さが目立つ。部屋探し二日目、麿赤兒の車の助手席で不動産係員とは思えない態度で右、左、右と言うのも、廃墟に案内して心なしかウキウキしているのも、突然仕事中にタバコ吸い始めるのもひたすら可愛い。洞口依子のASMRというレビューも納得。あと、佐野史郎の役名が"もうじき死ぬ男"なのがジワる。
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