Asian Film Joint 2024 福岡市総合図書館シネラにて『オアシス・オブ・ナウ Oasis of Now』をみた。
マレーシア、シンガポール、フランスの合同製作 チア・チー・サム監督
マレーシア、クアラルンプールの古い集合住宅。階段の吹抜けは母娘の「密会」場所。母と娘はどうやら別々に暮らしている。なぜ密やかに会わないといけないのか。出稼ぎでマレーシアに来たらしいベトナム人の母。彼女と他の人物の間には常に物理的な壁があり、段差がある。向かい合ったとしても、片方しか監督は見せない。ほとんど常に母はひとりでスクリーンに写っている。本当に頼りない。彼女の立場の脆弱さを嫌でも感じる。
ただ、小さな女の子を撫でるときだけ、フレームに2人入る。ぎこちない手を髪に伸ばし、優しく撫でる。音楽はなく、鳥の鳴き声と風、雨の音が映像に寄り添う。生はそこにある。
音の設計に関してはかなり好きだったが、視覚的な感性に関してはのれなかった。計算されているようでそこまで冴えてるとは思えず。この心地悪さを狙っているのだろうか。主役が人間ではなく空間ということならそうなのかも?