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フォロウィング 25周年/HDレストア版のsakiのレビュー・感想・評価

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クリストファー・ノーランの時間軸が錯綜する撮り方は処女作からそうだったんだ…という発見。
以下、ふんわりネタバレ含みます。

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なんとなくあっさりとした終わり方だったことに当初はふーん?処女作だしこんなものかと思っていたけど、「他人の生活を覗き見する」主人公の姿は、映画を通して自分では有り得ない別の誰かの人生を楽しむ鑑賞者である私たちを透かしているようにだんだんと思えてきた。
当初はただ後をつける(フォロウィングする)ことだけで満足していた主人公がだんだんとコッブに髪型や服装までも同化し、覗き見だけに飽き足らず他人の生活空間にまで侵入していく様子はフィルム・ノワール調の画面と相まってじわじわと恐ろしかったし、最後はコッブに踊らされて破滅してしまう。
警官にコッブという人間は居ないと伝えられ呆然とする主人公は、虚構を真実のように追いかけて踊らせる鑑賞者の写し鏡のようだった。
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