江戸の有名人の交流がほぼ史実というのが驚き。
馬琴と北斎ってあんなに親交があったんだ。役所さんと内野さんのやりとりだけでずっと見ていられるし、ずっと見ていたい。
渡辺崋山が馬琴の息子の友達?! 劇中に登場する掛軸の宗伯像もほんとに存在するんですね。
鶴屋南北と曲亭馬琴との奈落でのスリリングな議論が本作の白眉!
私は「真面目なほうの山田風太郎作品」をほぼ読んでないので、本作の原作も未読です。本作のこのくだりでやってることは全然映画的じゃないんだけれど、暗がりの奈落での二人の180度異なった角度での対話がとても映画的で、このシーンの自分の昂奮度は凄かった。ちょうど「TAR」の冒頭インタビューの芸術論に近い昂奮を感じました。
ここが見られただけで満点。
画が暗すぎるんで、南北が談春さんだって、エンドロールではじめてわかった。談春さんもナイスでした!
滝沢馬琴って、私の時代の教科書では「勧善懲悪」って言うキーワードがやたら悪い意味で強調された文脈で使われてたのを今でも覚えています。あれは日本史だったっけ、国語の便覧だっけ、そこは忘れちゃったから、私が40年くらい前に受け止めたニュアンスだけで表現すると、「馬琴は薄っぺらい単純な勧善懲悪の戯作で人気を博したけど、そこには文学と言える深みはなかった」みたいな感じだったんですよ。
私の世代はもちろんNHKの人形劇で言うと、「チロリン村」とか「ひょうたん島」では産まれてなくって、「新八犬伝」と「笛吹童子」に間に合ってなくて、いや、その頃は産まれてはいたんだけれど、小学校低学年だったんで、辛気臭そうなNHKの人形劇は見てなかったんですよね。で、「紅孔雀」は時々見てて、それでも「飛べー、飛べー。羽ばたけ紅孔雀~」ってテーマソングは歌える程度でストーリーは憶えてない。がっつり見たのは「プリンプリン物語」という世代なんです。「ルールールールー、予感です!」
だから、「八犬伝」的なものは、角川の例のやつが最初だったっけ。
あれも、後から考えると鎌田敏夫の翻案なんで結構違うんだけれど。
「仁義礼智忠信孝悌」はそれでもかなり子供の頃に憶えたっけな。
当時はまだそんな言葉はなかったけど、「中二病」的な我々オタク(←この言葉のギリギリ黎明期だった)にはマストアイテムだったんですよ。
余談だけど、私が今勤めている会社の理念的なキーワードに「六つの実践」的な漢字6文字があって、これが20年近く前に初めて打ち出された時には、「あと2つ足せよ!」ってニヤってなりました。
今日は仕事終わってから豊洲のシネコンで観たんだけれど、1番スクリーンという豊洲の2番目に大きなスクリーンで掛かっていた本作の客は4人くらいでした。
面白い映画なのにね。
やっぱ、「時代劇のタイトルは奇数に限る」ってジンクスがまだ生きてるのかしら。
赤穂浪士は47。黒澤が七。刺客は13人で、テレビだけど斬るのは三匹。もうすぐ公開の白石監督は11人なので、ヒットするかな。
11人といえば、萩尾望都先生だけど、あれはSFか。101匹ならダルメシアン。
「8」は時代劇としては、当たらないのかなあ……。面白かったんだけどなあ……。末広がりなんだけどなぁ。
あ、でも本作にも登場する「東海道四谷怪談」は偶数か。天地茂のあれ、めっちゃ怖いんだよね……。
内野さんは昔ドラマで「仁」でしたね。「仁」は犬江親兵衛か。
書き始めてからほぼ一時間。
改行するごとに焼酎を呷ってるんで、もう寝ます。
今日は午後ずっと雨が降ってるだけど、「星よ、導きたまえ!」(←だからそれは角川映画だってば!)