八犬伝の作者、滝沢馬琴が書き進めていく人生と、その書き進められた八犬伝のストーリーが同時進行で描かれていく方式は、斬新だった。
正直、八犬伝そのものより、馬琴の生涯のパートの方が、ずっと面白かった。
特に、鶴屋南北、葛飾北斎、渡辺崋山等の交流で、馬琴が実に素直に影響を受けていく。
その変化がまた、役所広司にしかできない自然な感じ。
それに比べると、壮大な大河ドラマである八犬伝パートは、どうしても尺が短いので端折る感じになってしまう。
二兎追うもの一兎しか追えずになってるところが残念。
だからといって、馬琴の生涯だけの映画にしたら、この味は出なかったろうし、これはこれで良い塩梅なのだろう。