びたみん

憐れみの3章のびたみんのレビュー・感想・評価

憐れみの3章(2024年製作の映画)
3.8
ヨルゴスランティモス監督作初鑑賞。
朝一の上映になんとか間に合い観たが、朝から自分は何を観ているんだろう、とふと考えてしまった。

面白かった。
3話とも毒気とカオスさが有り、程よく観客を置いていってくれる。ルイスブニュエルや、デヴィッドリンチを想起させるナンセンスな世界観に、魅了された。
また俳優陣が素晴らしく、好きな俳優のウィリアムデフォーも怪演をみせてくれる。
考察しても、ぼんやり観ても楽しめる、不条理劇の新たなる傑作だと思う。

しかし、3話ともスケールが小さく、そこまでびっくりするような仕掛けや展開があるわけではなかった。なんかブニュエルの映画で観たな、リンチの映画で観たな、みたいな同系統の映画から来る既視感が鑑賞の邪魔をした。もうすこし、ぶっ飛んでる展開を期待していたので、わりかし地味というか、真面目な展開は、ちょっと残念だった。

ただ、3時間近い上映時間を飽きさせず魅せる手腕はさすがだし、久々に映画に振り回された感じがして良かった。
「哀れなるものたち」(恥ずかしながらまだ観れていない)で頑張った監督が、本作をある種力を抜いて、楽しみながら撮っている感じがして、そこも良かった。その力の抜き加減が心地よかった。
さすがに「哀れなるものたち」などランティモス監督の他の作品も観ようと思えた良作だった。
ところでRMFってほんとに何?
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