ベトナム戦争長期化でソ連と争う宇宙開発へ懐疑的な目線が向けられる60年代末。嘘も厭わぬやり手マーケターで敏腕を見込まれてイメージ向上のためNASAに雇われたウィリーが、高潔な現場責任者コールと対立を経て関係を築くも人類初の月面歩行を全世界放送するにあたってフェイク映像作成を強いられる様を描いたコメディ・ドラマです。
宇宙開発競争を背景にした映画制作を目指したアップルスタジオがスカーレット・ヨハンソン主演で制作した2024年公開の作品で、変更のあった監督と相手役はグレッグ・バーランティとチャニング・テイタムに決定。テスト上映を経て劇場公開となり、公開後の批評家からの評価と興収は控えめだった一方、観客からは上々の評価を得ました。
歴史的事実を背景にアメリカの大衆が好む「陰謀論」をメイインイベントに据えて『高慢と偏見』型の恋愛コメディを描きます。背景のスケールの大きさに対してテーマの深掘りは浅いですが、ヨハンソンとテイタムを中心に各々に役割を全うするキャストの掛け合いと『月のひつじ』でも描かれた「歴史的瞬間」のパワーで引き込む一作です。