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フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーンのペインのレビュー・感想・評価

4.3
仮に“ヒットしていない映画は良い映画ではない”となってしまったら、毎度そんな作品ばかりで構成されていく私の年間ベストテンは一体…

というわけで、本作『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』(Apple)の興行不振を受け、ブラピとクルーニー主演の最新作『ウルフズ』(Apple)が劇場公開を見送られたとのこと。そんな『ウルフズ』は、冒頭いきなり子供の「ち○こ」のフレーズで始まるあの傑作『コップ・カー』の監督、ジョン・ワッツがスパイダーマンシリーズから帰還し、撮り上げた久々の犯罪映画とのことで、とても楽しみにしていただけに残念だ。

しかし本作『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』は、まるでホークス的女性像のようなお侠なスカヨハ嬢と、暗い(クライ)マッチョな堅物テイタム君の幸福な戯れを堪能出来る、実に風通しの良い映画に仕上がっていた。

観賞後に打ちのめされる傑作!名作!類いの作品ではなくとも、とにかく良心的な、丁度良いサイズ感のアメリカ映画を観る喜びを確実に味わえる。主にブラック・ウィドウで、スーツを着た“強い女”にかかりきりだったスカヨハが、10年ぶりくらいにホームに“帰ってきてくれた”感すらある。(彼女は本作で製作総指揮も務める)

脚本のローズ・ギルロイ(私と同い年)は、
なななんと、あのギョロ目ギレンホールが夜を徘徊する怪作『ナイトクローラー』の脚本・監督ダン・ギルロイの娘とのことでびっくり。

キャッチコピーにもある、
“リアルか?フェイクか?”を、劇中で多層的に表現してみせる演出の妙にも👏
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