2024年のアメリカ映画。スカーレット・ヨハンソンとチャニング・テイタムのW主演によるロマンティック・コメディ。Appleスタジオ製作。
1960年代を舞台に、アポロ計画にまつわる驚きの物語が展開する。あの有名な月面着陸の映像は、実はフェイク映像だったかもしれないというもの。疑惑の真相に興味津々だし、その主軸の物語と合わせて展開する男女二人のロマンスが見事に合致している。スカーレット・ヨハンソンとチャニング・テイタムの二人のキャラクター性が非常に魅力的で、コミカルかつロマンティックなストーリーに終始釘付けである。ケネディ宇宙センターの外観の雄大さは圧巻だし、そこで働く人々の内側を映し出した部分も興味深い。ロケット発射の緊迫感、そして月面着陸を再現した映像は感動的だ。登場人物の服装や街並みなど、1960年代のそれらを見るのも楽しい。人間ドラマも兼ねたエンタメ大作として上々の出来である。
スカーレット・ヨハンソン演じるケリーは、やり手のマーケティングコンサルタント。強引で半ば無茶苦茶ではあるものの、きちんと結果に繋げるところに感心する。相手に興味を引かせるためにはどうすればよいかというのを彼女は熟知しており、その鮮やかな手法に「なるほどな」と思わず頷いてしまった。彼女にとっては男の扱いも同様で、相手をその気にさせるにはどうすればよいかを分かっている。チャニング・テイタム演じる打ち上げ主任のコールも、ケリーにあっさり惚れてしまう。そういうケリーの方もコールの真面目で誠実な部分に惹かれ、嘘も方便な自分のこれまでの生き方を考え直すようになる。違うがゆえに衝突もあるが、違う部分にこそお互いの良さを見つけ合う二人の関係性が素敵だ。そういう二人を面白おかしく、そしてロマンチックに見せるスカーレット・ヨハンソンとチャニング・テイタムが魅力的な作品でもあった。ウディ・ハレルソンが胡散臭い役柄で出ているのも良き。あと黒猫がちょこちょこ出てきて可愛かった。日本と同様でアメリカでも不吉な存在なんだね。でもあの可愛さは憎めないよねぇ。
世界興行収入は振るわなくて立ち位置的には失敗作らしいが、自分としては期待値以上に楽しめて好きな作品だった。Apple TV+に加入したら観てほしい一本である。