ほいほい

明日を綴る写真館のほいほいのレビュー・感想・評価

明日を綴る写真館(2024年製作の映画)
3.4
平泉成が演じる寡黙なカメラマン・鮫島武治、彼に惹かれ弟子入りを志願する五十嵐太一(佐野晶哉)。

この二人が織りなす関係性は、いわゆる”師弟もの”の枠に収まりつつも、単なる技術の伝承にとどまらないところが面白い。武治の写真館には様々な人々が訪れ、それぞれの人生の瞬間を切り取ることがテーマになっているが、彼のスタンスがただのカメラマンではなく、“人生の証人”のような存在なのがポイント。

写真を撮ることは、単なる記録ではなく、その人の生きた証を刻む行為だとする本作の視点は、いわゆる”昭和の職人気質”と”令和の感性”の交差点にある。

そこに”アイドル”という立ち位置の佐野晶哉を配置したのは、キャスティングの妙と言える。アイドルという存在もまた、ある種の”瞬間を切り取られる”仕事なわけで、彼自身のキャリアとこの役柄が持つ意味がシンクロするのが面白い。

ここで重要なのが、“写真”はただの記録ではなく、その人の生き様や感情を映し出すもの というテーマ。武治の写真がなぜ人の心を動かすのか?それは単なる構図や技術の問題ではない。写真を撮るとは、その人の”存在”を受け止めることなのだ。そして、受け止める側の心が未熟ならば、それは単なる”綺麗な絵”でしかない。

写真館を訪れる人々の人生の一瞬が切り取られるたびに、観る側の記憶の奥底にも眠っていた”あの頃の自分”がフラッシュバックするかもしれない。気づけば、映画館を出たあとにスマホのカメラロールや昔のアルバムを開いている…そんな映画です。
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