改名した三島こねこ

死刑執行人もまた死すの改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

死刑執行人もまた死す(1943年製作の映画)
3.5
<概説>

WW2最中のドイツ人副総督暗殺事件を基に、名監督フリッツ・ラングが展開する戦争サスペンス。国民全員を人質に暗殺犯引渡しを要求するナチス。暴政を敷かれ反抗するチェコ国民。最後に笑うのは一体どちらなのか。

<感想>

反ナチ・レジスタンス映画の屈指の傑作とされる
(引用:Wikipedia『死刑執行人もまた死す』より)



歴史的名作にケチをつけるのはあまり好きではないのですが、これ程に世評を見つめなおす必要のある作品もなかなかないのではないでしょうか。

なぜって。露骨にプロパガンダ映画ですし。

サスペンスとしてはおもしろいです。間違いなく。

ただ劇場における暴力沙汰を起点として「アメリカ国民よ!ナチを殴り飛ばしたぞ!」といった卑俗な感興が目につきます。

WW2真っ最中だったからこそ、そういった無駄が評価されているのではという疑問が。うぅ〜〜〜ん。。。

全体像としてもナチスの人間像が先鋭化されている気がしてならない。ナチスが悪人として描かれることに異存はなくとも、他の名作と比較してみるとちょっとやり過ぎ。犠牲者数ではなくて悪の組織としての描写が。

レジスタンス側に都合がいい展開やら。
組織として無駄でしかない悪辣な趣味やら。

悪逆なだけではなく無意味にゲスとしても描く。これにどの程度意味があったのかなあと、後世の視点から疑問です。



逆の見方をすると当時のナチス観が色濃く出ていて、それはそれでおもしろいのですけれどね。歴史的資料として。

『夜と霧』『ヒトラー 最後の12日間』などの後だと、ますます彼等がそんな無駄をしている余裕があったのかなあと。鼻につく笑いを堪えられません。