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死刑執行人もまた死すのkojikojiのレビュー・感想・評価

死刑執行人もまた死す(1943年製作の映画)
4.2
ハイドリッヒ暗殺の映画はこれまで
「ハイドリヒを撃て!」
「ナチス第三の男」
の2本を観ている。
どちらも面白く見応えのある作品だったが、この映画は勝るとも劣らない。面白い。

#1323
1943年 アメリカ🇺🇸映画
監督: フリッツ・ラング
映画脚本: フリッツ・ラング、 ジョン・ウェクスリー、 ベルトルト・ブレヒト

 ナチス占領下のプラハ。「死刑執行人」の異名で恐れられていた副総督ラインハルト・ハイドリヒがレジスタンスに暗殺される(エンスラポイド作戦)
 秘密警察ゲシュタポは、チェコ市民を拘束し暗殺犯が捕まるまで、捕虜を殺害するという手段をとり、暗殺犯の捜索に躍起になる。そんな中、逃走を目撃し、成り行きから手助けをした若い女性、マーシャは、彼とたまたま再会し、「友人のヴァニヤック」と偽って自宅にかばう。
 マーシャの父親・ノヴォトニー教授は何も聞かずヴァニヤックであることを理解し、匿うが、彼もまた捕虜として拘束されることになる。
 マーシャ一家と彼女の許嫁は父の処刑と犯人の情報提供の間で揺れるものの父の言葉を受けてヴァニヤックを庇い続ける。
 ゲシュタボの追求の中心人物はグリューバー警部。彼の追求は執拗で手を抜かない。すごくきめ細かい追求で犯人がバレてしまうのも時間の問題のような気がするが、チェコの市民が一致団結しているので、この執拗な操作でもなんとか捕まらない。
 どんな決着をめせるのか、ハラハラドキドキしながら観ていくうちに、その結末が次第に想像できるようになって、最後は全て上手くまとめ上げてくれる。その監督手腕に恐れいる。
「なるほどそうきたか!」と思う。
それぐらい鮮やかな回収。
見事ととしか言いようがない。

 この映画を面白くしているのは、なんといっても敵役グリューバー警部(アレクサンダー・グラナック )。
 彼の頭の良さと執拗な追求にハラハラドキドキが止まらない。適役はこれぐらい怖い相手じゃないとと思わせる。個性的で満点の適役だ。

 ユダヤ人のフリッツ・ラング監督は、ヒトラー政権が誕生すると危機一髪のところで1934年にフランスに渡る。この映画はハイドリヒが殺害された翌年に制作している。
 この経歴からしても、普通の思いでこの映画は撮ってないことは間違いない。強い怒りと反ナチスの思いが映画の隅々に感じとれる。

 傑作だ。

 私はこの映画を今まで観た作品の中でフリッツ・ラングで最高だったので、彼の代表作として評価を4.1とする。あくまで今のどころだ。今年のベスト10に入れる。


2023.07.29視聴357
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