2022.01.15
ホラー映画はあんまり好きじゃないから普段観ないんだけど、音と映像で物理的に驚かすだけのそこら辺のホラー映画が好きじゃないってことがわかった。
聴こえるか否かの微妙くらいの音量で流れる高音やゆったりした気味の悪い音の連なりによって、徐々に狂気の世界に入り込んでしまったような感覚になり、じわじわと鳥肌が立った。三輪車が通過する音やラウンジに響くタイプライターの音は何かが起きる予兆のように感じた。シンメトリーの構図は整っていて美しいはずなのに、その完全さがかえって不気味さを演出するし、ホテル内の広い空間は開放的であるはずなのに、取り残された感じが相まって恐怖心が勝ってしまう。すべての要素が不気味な空間を連想させるという意図をもって構成された完璧な作品。
