ぜにげば

BELIEVE 日本バスケを諦めなかった男たちのぜにげばのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

こういう類の作品って、評価が難しい。
ただ言えるのは、ホーバスJAPAN大好きだなってことかな。

今作は、パリ五輪に向けてワールドカップの熱を感じ逃した人を誘うようなものではなく、ワールドカップを見てた人達に向けてもう一回熱くなろうぜって訴える内容だった。
突然足を運んだバスケに興味がなかった人は蚊帳の外っていうのは映画として良くないという批判は言えるかな。
既に色んな媒体で出ている映像をツギハギし、今作でのオリジナルのインタビューも言ってることは同じだからそこはちょっと不満。
後広瀬すずのナレーションは違和感がちょっとあった。

ただインタビューの内容で特に良いなと感じた部分もある。
1つは馬場選手のフィンランド戦についての「絶対勝てると信じてた」っていう言葉の説得力。
言い方とか含め、めちゃくちゃ重厚な言葉だった。
もう1つは比江島選手のベネズエラ戦の「アップからシュートタッチが良くて」の部分。
どこかで言ってたかもしれないけど意外と初めて知った事実だった。

この2023バスケワールドカップが何故特別なのかを一応書いておく。
まず世界一のスポーツ漫画は日本発の「SLAMDUNK」。これはもう断定する。
日本人に、「実際にやったことは無いけどバスケは好き」って思ってる人は死ぬほど多い。
スラムダンクの影響でバスケを始めた人も死ぬほどいるし、冗談抜きでバスケ界を支えたのは間違いない。
そんなスラムダンクの映画が満を持して前年に公開され、凄まじい盛り上がりを見せていたっていう流れがひとつ。
もうひとつは日本バスケ界の歩み。
190cmあってもNBAでは強みにはできない、そんな厳しすぎる日本人には不利な世界で、着々と選手が育ち、同時に2人も日本人NBA選手が存在するという、二度と訪れないのでは無いかとすら思う大チャンス。
「二人も同時にだ…」というセリフを重ねたくなってしまうくらいの奇跡的な瞬間。
そしてもうひとつは、ワールドカップ前までの日本スポーツ界の流れ。
サッカーワールドカップで、掲げた目標こそ達成はされていないものの下克上を立て続けに起こす奇跡、WBCでのドラマティックな優勝劇、それに続けるか?という流れ。
あらゆる流れから集約された大きなバトンが綺麗に繋がった中、ゴリゴリのホームの日本開催のワールドカップ。
こんな事態は起こりえない…と思ってたら八村塁の仕方の無い不参加、「あれ、今回もやっぱり無理なのかな…?」と少し不安が漂う。
そこに渡邊雄太の「パリに行けなかったら代表引退する」という覚悟。
全員が固唾を飲んだと思う。
八村塁不在でも何とかやってくれるかもと思わされたと同時に、今回のチャンスを逃せば向こう10年は暗黒期が続きそうと予感させるセリフだった。
黒子のバスケにおいて「バスケットほどつまらないスポーツは無い」とナレーションが入るほどに、全てのスポーツでもトップクラスに逆転が起こりづらい。
サッカーで下克上が出来たのはサッカーだったからであって、バスケでそんな事起こらないんじゃないか?
いざ見てみれば凄かった。
格上に大逆転を2連続。サッカーのドイツスペイン撃破も凄いが、間違いなくバスケの方が凄いと思う。
そしてそれでも尚カーボベルデに負ければパリ出場が決まるか分からないという遠さ、サッカーWCでのベスト8の目標は叶わなかったという事実が頭をよぎる中、17点を追い上げられるもちゃんと勝つ。
家で見てた自分でさえも、ドキドキはしたけどなんか負ける気がしなかった。
ホーバスJAPANに信じさせられたんだと思う。
トムホーバス監督は本当の名将だと思う。
女子バスケ日本代表を銀メダルに導いた後、男子バスケでパリ五輪出場という目標を掲げそれを達成する。
下克上や逆転が比較的起きやすい、身長をそこまで求められない日本人にそこまで不向きじゃないサッカーというスポーツで格上を倒しつつも目標を達成できなかった木木木イ口木とは比べ物にならないくらい凄いこと。
偉業。

あまりにも出来すぎてる初戦ドイツという展開、ワールドカップで自分たち自身で実感してしまったホームのアドバンテージと今シーズン新人王の宇宙人ウェンバンヤマが居る開催国フランス、そして一番勝てる確率が高そうなブラジルでさえフィンランドよりも世界ランクが高い。
それでもホーバスJAPANならやってくれるんじゃないかと思わせてくれる。
子どもの頃寝そべりながら見た本田のフリーキックとか、オリンピックの北島康介とか、どのスポーツの祭典も定期開催だから、熱が高まったり弱まったりを繰り返すけど、今一番熱が高まっている実感がある。
パリ五輪信じてます。


余談だけど、最近の日本スポーツ界って本当に凄まじいと思うし、何よりみんな人格者な気がする。
井上尚弥も大谷翔平も渡邊八村も河村も。
テレビでみる人に対して「この人は良い人」って思い込むのは危険なことだけど、それでもそう思っちゃうくらい一挙手一投足が魅力的。
人格者であることが一流であるための必要条件であって欲しいと思うし、それを否定するような素行の悪い天才は生まれないで欲しいな。
見る人の「見たい」って感情がスポーツビジネスの全てなんだから、見る側のリテラシーでもって、極端な話どんなに才能がある選手でも素行が悪かったりすれば即刻永久追放する流れを作っていってほしい。
それが僕の見たいスポーツ。

2024/07/10追記
河村勇輝、富永啓生同時にexhibit10契約…凄まじい…。

よく考えたら別の映画の主題歌を別の作品で映画館で流すっての面白い現象だなぁ。
それだけ全方面からの熱が集約してる。
「世界が終わるまで…」も流しつつ、一番盛り上がる瞬間は観客が一体となって盛り上がれる「第ゼロ感」を流す。
この曲はここまで想定されて作られてないだろうけど、テレビ越しにも会場の一体感が凄まじかったのを覚えてる。

2024/08/10追記
お疲れ様でした!!!
ぜにげば

ぜにげば