すずき

トランスフォーマー/ONEのすずきのレビュー・感想・評価

トランスフォーマー/ONE(2024年製作の映画)
4.7
遠い昔、遥か彼方の銀河系で、サイバトロン星に住む超ロボット生命体トランスフォーマー。
彼らはかつて、リーダーである12人のプライム達の持つ『マトリクス』の力により星からエネルギーを生み出し、それを糧にして生きていた。
だが、クインテッサ星人との長きに渡る戦いにより、プライム達は死に絶え、マトリクスは失われた。
そして現在、最後のプライムであるセンチネルプライムとその一団は地上世界でマトリクスを捜索。
生まれつき変形機能を持たない労働者階級のトランスフォーマー達は地下世界で結晶化したエネルギーを発掘の仕事を与えられていた。
労働者階級の若者、オライオンパックスとD-16は偶然にマトリクスの手掛かりの座標を手に入れ、成り行きから仲間達と共にそこを目指す冒険の旅に出る事となる…

日本のタカラトミーと米国のハズブロによる男児玩具『トランスフォーマー』を原作とするアニメ映画。
マイケル・ベイ監督ほかによって実写映画がいくつか撮られているけど、今作は地球人は出てこないので、フルCGによるアニメ作品である。

正義のオートボット軍団のリーダー、オプティマスプライムと、悪のディセプティコン軍団のリーダー、メガトロンのオリジンを描いた作品。
実写映画シリーズに繋がるのか、TVアニメ版に繋がるのか、はたまたパラレルワールドなのかは不明だけど、時系列としては最も過去となる。

アニメ作品かつロボット物という事もあり、一般層は敬遠しそうでヒットは難しいそう。
しかし、シリーズファンの端くれによる贔屓目もあるけれど、私は本作こそ多くの人に推したい!
特に女子に推したいのである!

そもそも『トランスフォーマー』シリーズ自体、ロボットアニメの中では最も女子ウケの良いシリーズである事は知る人ぞ知る事実である。
ロボットは道具ではなく、人格を持った魅力的なキャラクターとして描かれたこのシリーズなのでそれも納得だ。
そして本作は、更にそのキャラクター性を強く押し出し、主役と未来で宿敵となる相手との熱い友情と決別を描いた、非常にエモい男の友情映画なのだ!
そんな友情決別物語に興味があるなら、是非鑑賞を試してもらいたい。(布教)

しかし……なんと言うか、思った以上に仲良かったんだなコイツら。
自由を愛し仲間を見捨てない熱血漢トラブルメーカー・オライオンパックスと、彼に振り回され呆れながらも彼を助ける事をやめないD-16。
ブロマンスと言ってもいいほどのマブダチ相棒パートナー関係に、その後の未来を考えると心苦しかった。
規則を重んじるD-16が世界の真実を知らされ徐々に心は荒んでいき、そして最後の良心のブレーキと正気を壊してしまう出来事がアレとは……辛すぎる。
彼らの最後の決別に、不覚にもガチで泣いてしまう。まさかトランスフォーマーに泣かされるとは!

彼ら2人の他にも、のちのバンブルビーことB-127、紅一点のエリータもいいキャラしてる。
B-127はずっと喋りっぱなしで、未来で発話機能をメガトロンに奪われるのも納得。
エリータは身体的にも気も強い、ちょっとキツめの女性だけど、オライオンパックスを励ますシーンにグッとくる。
あのお姉さんっぷり、惚れてまうやろ〜っ!
メチャメチャ厳しい人が不意に見せた優しさのせいだったりするんだろうね。

あとはこのシリーズでは毎度の事なんだけど、吹替の豪華声優陣も必見・必聴!
バンブルビーは過去作から続投、安心安定の木村良平。
彼、もう10年以上バンブルビーやってるよね。ハマり役!

そしてオライオンパックスは大人気声優の中村悠一。親友のマフィア梶田君もカメオ出演。
玄田哲章コンボイと比べると、当然ながら若々しい。
しかし『キャプテンアメリカ』のような、圧倒的な正統派正義主人公ボイスは合うなぁ。
これからもオプティマスプライムを演じて、声を低くしていって欲しい。

D-16は木村昴で、こちらも上手い!
D-16から破壊大帝メガトロンになるまで、段階的に狂気を帯びていく演技で魅せる。

今作のキャストでG1アニメリメイク、なんてのもアリだなー。
しかしその前に、残された謎であるクインテッサ星人との決着、そしてサイバトロン星の崩壊を描いた続編を希望!